こころとテクノロジーのブックリスト

2025 - 12 - 17

弱いロボットは無条件の愛を与えてくれる

ウィンチェスター・オバケやしきー多々買え…多々買え… Advent Calendar 2025の17日目の記事です。

今年も色々読みました。
なんか去年一昨年よりも量を読んだ気がする。(転職の影響もあり)
読んだ量の倍以上積読も増えてるけどな!!!!!!!!
本を読むと本が増える。
せっかくなので自分の中で「これはひとつのテーマになっているのでは?」と関連付けてしまった書籍を並べ立てようと思う。
自分のためのここ良かった引用ポイントまとめのような記事です。

『弱いロボット』

『〈弱いロボット〉の思考 わたし・身体・コミュニケーション』

岡田美智男 著

みんな大好き何かの役に立たない弱いロボットについての本。

SCP-131として有名なむ~もこの著者による弱いロボット。

別々の本だが客観が強いか主観が強いかの差で書いている内容自体はあまり変わらない。
"弱いロボット"そのものに関心がなくても人間の挙動に興味があるととても面白いと思う。
コミュニケーションロボットを通して自己完結せずにお互いに触れ合うオープンなコミュニケーションの話をしている。
七転び八起き! なんか元気になる本。
我々は外界・他者と関わることによって自分自身の輪郭を認識して定義しているんだね

雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

カウンセリングとは何か 変化するということ

東畑開人 著

前者は日常において身近な人が精神的に参っているときにどう立ち回ればいいか、どうすれば共倒れせずに済むか、という内容。
後者は心理学の歴史をざっくり紹介した後、著者の経験ベースに(主に精神分析を用いた)カウンセリングで何が行われているのかを解説する内容。

以下ちょっとあまりにもキャッチーな文章が多すぎる雨の日の心理学からの引用ばかり。

そう、僕は新刊の評判が心配で、SNSでのエゴサをやめられなくなってしまう人なんです。褒められていたら喜んで、けなされていたら傷つく。それで不安定になってしまう(ということは、あなたがこれから何を為すべきか、わかりますよね?)。

初っ端からこんなことを言い出す。おもしれーカウンセラー
精神分析自体についてもかなり噛み砕いて説明されており、こちらを助走にすることで、より(ちょっとだけ)専門的になるカウンセリングとは何かを読むのがおすすめ。

たとえば、家族がうつになる。イライラしやすくなったり、寝込んでばかりいる。自分は振り回されてばっかりですっかり疲弊してしまう。そういうときに、うつについての本を読んだり、うつをケアする家族のための本を読んだりすると、そこに自分のことが書いてある。
「ああ、私だけじゃなかったんだ」と思い、「うつだとそうなるんだ」とわかると、再び見通しをもって相手と接することができますよね。
知識が孤独を防ぐ。

一番好きなのはここです。
何かについてそれをインプットすれば勉強できるほどにまとめられた書籍や記事、その他媒体を含むメディアというものはそれそのものが先人たちの集合知であり"人間"なのだと改めて思った。

ここだけの話ですけど、僕の本はとりわけ縁起がいいらしい。話が盛り上がるから読書会に最適だし、僕の本を送ることで結婚した人もいたりいなかったりするらしいです。
回し読みするのではなく、購入して送り合うと断然運気が上がると、ロサンゼルスでは言われているという噂を聞いたことがあった気もするし、なかった気もします。

とのことなので買おう!

ちなみに著者は日本のユング研究のレジェンド河合隼雄氏のモノマネも得意だそうです。なにそれすごい

増補改訂版 スマホ時代の哲学 失われた孤独をめぐる冒険

谷川嘉浩 著

帯に東畑開人氏の名前があったのでいい加減に読んだらめっちゃ良かったやつ。
いろんな隣接分野で同じような歩みをしているのだな…。
現代では氾濫する情報という刺激の中に埋もれて隙間を埋めてしまいがちだしそれが楽でもあるけどたまにはそういったものから離れて自分自身と対話するのも良いんじゃないみたいな話。
だと俺は解釈してるんですけどそういう風に俺は噛み砕きましたよと書いてしまうのも野暮なので自分で読んだほうが良いです。
何かしら創作活動をする人のほうが実感持って刺さると思う。

外化されたものを介した自己対話という観点からすると、「何かを作る」行為の中でも「書く」ことが意義深いのは、いったん外側に定着した言葉が、自分の言葉でありながら他人の言葉のように、よそよそしくなるからです。

アウトプットしたものを見返す時の良くも悪くもな他人事感、これです。
このために書くし描くんだ俺達は…。

何か特定の仕方でしか解釈できないものを物語作家は提示するわけではありません。読み手にいろいろな解釈を許し、そこから様々な場所へと歩いていける十字路のようなものを独自の仕方で組み合わせることで、物語は作られているということです。
(中略)
つまり物語は、少なくとも理想的な物語は、どこまでも解釈を固定できない、固定したかと思えば、もっと深くまで潜ることのできる森として読者の前に置かれているのです。ネガティヴ・ケイパビリティという見方が教えてくれるのはこのことです。

もやもやを白黒つけようとせずにもやもやのまま抱えてゆっくりと消化していくのも大事だよ、というのは東畑開人氏の著書とも毛糸じみた太い繋がりがある。
どうせなら併読がおすすめ。

温かいテクノロジー みらいみらいのはなし

林要 著

LOVOT開発者によるLOVOTとその未来の話。

LOVOTはかわいいね

LOVOTも弱いロボットなんですけど弱いロボットの中ではすごくハイテクのつよつよロボです。
テクノロジーの粋で弱ロボ作ってる…なにこれ…。
そんなハイテク弱ロボをどうして作ろうとしたのか、という所から話は始まるが…

(前略)しかし、今日食べるごはんに困っているくらい切迫した状況では、生き延びることに精一杯で、そんなことに悩む余裕などないかもしれません。「存在意義に悩む」というのは「悩めるくらいに余裕がある」とも言えそうです。

どっかで読んだ話だな(東畑開人著作)
ケアが先でセラピーが後(by 東畑開人)の考えからしてもLOVOTはセラピーのロボと言えるでしょう。価格的な意味で

自分の努力ではどうにもならない悲しみが、すでに人生にはたくさんある。愛するものができたらかならずそれを失う、それ以外の道が許されないのだとしたら、だれかを「気兼ねなく」愛でるなんてことはできなくなってしまいます。
すべての愛に強い覚悟が必要になるという状況は、「気兼ねなく愛でる対象を持つことによる、人類のレジリエンス(心の回復力)の向上」というLOVOTの目的においては、できれば避けたいことです。

一番感銘を受けたのはここ。
愛玩対象を愛でることの罪悪感までもを無機物だからこそ抱きしめてくれる(LOVOTの腕はヒトを抱きしめられるほど長くはないが)のがLOVOTです。
死なない≒生存本能がないからこそ利他的で居られるロボット。

この本では現状弱いロボットのLOVOTがドラえもんになるには何が必要か、を更に考えていくのだが、その過程で思い出されるロボットが仮面ライダーゼロワンの縁結びマッチ。

死なない≒生存本能がないからこそ利他的で居られるロボット。

まさに縁結びマッチのエピソードそのものなんですよね。
他にも愛着形成の話だったりアニミズムの話だったりが入ってきて「全部繋がっちゃった…」とか「俺達の思うロボットの居る未来ってやっぱこうだよな!」などとなった。
テクノロジーに希望を持ちたい人類におすすめです。

どうですか?

駆け足気味な上ざっくりとした要約にもなっていない雑な説明を添えたブックリストになってしまったが、是非実際に読んでみてほしい。
こんな雑感記事のことなんか忘れて自分で読んで、著者の言葉を直接受け止めるほうが得られるものが多いと思います。
いずれもカジュアルな文体でサクサク読める(スマホ時代の哲学が一番長い程度)ので、正月休みや正月明けのリベンジ休みのお供にいかがだろうか。
どうですか?

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